オフィス移転時の内装どう進める?レイアウトから工事・引き渡しまでの流れと設計ポイント

オフィス 移転作業 

オフィス移転で内装工事を進める際、レイアウト設計から施工完了まで適切な手順を踏まなければ、スケジュール遅延やコスト超過のリスクが高まります。工事区分の理解、業者選定、法規確認など押さえるべきポイントは多岐にわたります。移転プロジェクトを円滑に進めるため、内装工事の全体像と各フェーズで確認すべき要点を解説します。

オフィス移転における内装工事の目的と準備段階

移転時の内装工事は単なる原状回復や美観改善ではなく、企業ブランドの体現や働き方改革の実現、業務効率向上を目的として実施されます。準備段階で目的を明確化し、スケジュールや工事区分を把握すれば、後工程のトラブルを未然に防げます。

なぜ移転時に内装工事が必要か-目的を整理する

移転を機にオフィス環境を刷新すれば、社員のモチベーション向上や採用力強化につながります。企業理念やコーポレートカラーを空間デザインに反映させれば、来訪者への印象も変わります。フリーアドレスやABW導入など新しい働き方に対応するには、動線や家具配置を最適化する必要があります。目的を整理せずに進めると、完成後に使い勝手の悪さが露呈し、追加工事が発生します。

移転スケジュールと工事区分(A工事・B工事・C工事)を把握することの重要性

内装工事には、ビルオーナー負担のA工事、テナント負担でオーナー指定業者が施工するB工事、テナントが自由に業者を選べるC工事があります。工事区分を誤ると、想定外の費用負担やトラブルに発展します。賃貸借契約書や工事区分表を初期段階で確認し、施工可能な範囲を把握します。解約予告から引き渡しまでの期間を逆算し、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

初期段階で決めるべきコンセプト・レイアウト・ゾーニング

内装設計前に、オフィス全体のコンセプトを定めます。カフェ風のリラックス空間を重視するのか、効率性を追求したシンプルなデザインにするのか、方向性が決まらなければ内装仕様や家具選定が定まりません。次にゾーニングを行い、執務エリア、会議室、リフレッシュスペースの配置を決めます。来客動線と社員動線を分けるレイアウトにすれば、セキュリティ面でも効果的です。

予算立案・工期の目安・内装仕様レベルを設計・営業目線で押さえるポイント

内装工事の予算は坪単価で算出され、一般的に坪10万円程度が目安ですが、仕様や材料で大きく変動します。予算が限られている場合、仕上げ材をシンプルにしたり、既存設備を活用したりしてコストを抑えます。工期は内装工事だけで1~2カ月、設計から引き渡しまで含めると3~4カ月を見込みます。営業提案では、予算感と希望仕様のバランスを取りながら、複数パターンを提示します。

内装設計・レイアウト決定フェーズ

オフィス 移転

レイアウトと内装仕様を連携させながら設計を進めると、機能性とデザイン性を両立したオフィス空間が実現します。業者選定や法規確認を並行して行い、設計図書の精度を高めれば、施工段階での手戻りを防げます。

オフィスレイアウトと内装仕様を連携させる:動線・ゾーン・家具・設備の関係性

レイアウト設計では、執務スペースの配置だけでなく、コピー機や給湯室へのアクセス動線も考慮します。動線が交差しすぎると従業員同士がぶつかりやすく、業務効率が低下します。パーティションの高さや素材で空間の開放感が変わるため、視線を遮りたいエリアには背の高い間仕切りを、コミュニケーションを促進したいエリアにはガラスパーティションを採用します。

材料・仕上げ・パーティション・床・天井など内装の仕様選定とデザイン視点

内装の仕上げ材は、見た目だけでなくメンテナンス性やコストにも影響します。床材はカーペットタイルかビニル床タイルか、天井は吸音性を重視するか照明配置を優先するか、用途に応じて選定します。壁は塗装仕上げかクロス貼りか、パーティションはスチール製かガラス製か、素材で空間の雰囲気が大きく変わります。企業カラーを取り入れたアクセントウォールなど、ブランドイメージを空間に反映させます。

業者選定・設計業務委託・見積取得の流れと設計書確認のポイント

内装工事業者を選定する際は、複数社から見積を取り、価格だけでなく施工実績や対応力を比較します。設計施工一括で依頼すれば、窓口が一本化されスケジュール管理がしやすくなります。見積書では、仮設工事、解体工事、造作工事、仕上げ工事など項目ごとに金額が明記されているか確認し、一式表記が多い場合は内訳を求めます。設計図書は平面図、展開図、設備図などが揃っているか確認します。

法規や既存ビルの工事区分を設計段階で確認

内装工事は消防法や建築基準法など複数の法規制を受けます。間仕切りを増設する場合、消防署への届出が必要になり、火災報知器やスプリンクラーの増設を求められます。労働安全衛生法では一人当たりの気積が10立方メートル以上必要とされ、照度基準も定められています。配管や電気容量の増設がB工事に該当し、オーナー指定業者しか施工できない場合があるため、設計段階で管理会社と打ち合わせを行います。

内装工事・施工フェーズの流れ

施工フェーズでは、着工から竣工まで複数の工程が連続して進行します。移転先ビル特有の制約を把握し、スケジュール管理と品質チェックを徹底すれば、引き渡し後の不具合を最小限に抑えられます。

着工から竣工までの主要工程:仮囲い・解体・造作・仕上げ・設備搬入

内装工事は仮囲いの設置から始まり、既存の間仕切りや設備を解体し、新たな壁や天井の造作を行います。造作工事では軽鉄下地を組み、石膏ボードを張った後、塗装やクロス貼りなどの仕上げ工事に移ります。同時進行で電気工事、空調工事、通信配線工事も実施され、照明器具やコンセント、LANケーブルの配線が完了します。仕上げ工事後、家具やOA機器を搬入し、クリーニングを経て竣工となります。

移転先ビルならではの制約とスケジュール管理

移転先ビルでは、搬入経路の制約や作業時間の指定があります。エレベーターの使用時間が限られていたり、騒音を伴う工事が夜間や休日に制限されたりする場合、スケジュールを調整します。既存テナントが入居中のビルでは、共用部の養生や清掃、エレベーターの予約など、ビル管理会社との調整が必要です。工事車両の駐車場所や資材搬入の手順も事前に確認しておかないと、当日作業が止まります。

施工中チェックポイント:設計図との整合・仕上げ品質・安全管理

施工中は定期的に現場を訪問し、設計図通りに工事が進んでいるか確認します。壁の位置やパーティションの高さ、コンセントの位置など、図面と現場が一致しているかをチェックし、相違があれば早期に是正を求めます。仕上げ品質では、塗装のムラやクロスの継ぎ目、床材の浮きなど細部まで目を配り、不具合があれば手直しを依頼します。安全管理では、労働安全衛生法に基づいた対策を確認します。

引き渡し前検査・竣工確認・引越し準備との調整フェーズ

工事完了後、施工業者立ち会いのもと引き渡し前検査を実施します。設計図と照合しながら、仕上がりに不備がないか、設備が正常に動作するか、清掃が行き届いているかを確認します。不具合があれば是正工事を求め、すべて解消された段階で竣工確認書にサインし、正式に引き渡しとなります。並行して引越し業者との打ち合わせを進め、家具配置図を共有し、搬入日時や作業手順を調整します。

内装工事費用・コスト管理の視点

電卓 コスト 費用

内装工事費用は仕様や規模によって大きく変動します。費用目安を把握し、コストを抑える工夫を取り入れつつ、予算オーバーを防ぐ管理体制を整えれば、限られた予算内で満足度の高いオフィスが実現します。

オフィス移転内装にかかる費用目安・費用が変わる要因

内装工事の費用は、坪単価10万円程度が一般的な目安ですが、仕様や工事範囲で大きく変動します。100坪のオフィスであれば約1,000万円が目安となりますが、パーティションの素材をスチールからガラスに変更したり、床材を高級なカーペットタイルにしたりすると、坪単価は15万円以上に上昇します。スケルトン状態から内装を作り込む場合と、既存の内装を活かして部分改修する場合では、工事費用が倍以上変わります。

コストを抑えるための工夫:仕様シンプル化・材料選定・造作を最適化

内装費用を抑えるには、仕様をシンプルにし、必要最低限の造作にとどめます。塗装仕上げの代わりにクロス貼りを選べば、工期も短縮でき費用も削減できます。パーティションは既製品を活用し、オーダーメイドの造作家具を減らせば、大幅にコストダウンが可能です。材料選定では、来客が目にする受付や会議室には質の高い仕上げを施し、執務エリアはコストを抑えるなどメリハリをつけます。

予算オーバーを防ぐための見積比較・仕様変更時の対処方法

予算オーバーを防ぐには、複数の業者から見積を取り、項目ごとに金額を比較します。同じ仕様でも業者によって価格差があるため、相見積もりを取れば適正価格が見えてきます。安さだけで選ぶと施工品質が低く、追加工事が発生するリスクもあります。仕様変更が必要になった場合は、変更内容を文書で記録し、追加費用の見積を取ってから承認します。口頭でのやり取りだけでは追加請求のトラブルが起きやすくなります。

維持管理・原状回復・次回改修まで視野に入れた費用設計

内装工事の費用設計では、完成後の維持管理コストも考慮します。メンテナンスが容易な素材を選べば、清掃費用や修繕費用を抑えられます。将来的にオフィスを退去する際の原状回復工事も視野に入れ、可動式パーティションや置き型の家具を多用すれば、解体費用が少なく済みます。5年後に再度レイアウト変更を予定している場合は、高額な造作を避け、フレキシブルに変更できる設計にしておきます。

営業・提案段階で活かせる内装設計ポイント

移転時の内装提案では、クライアントの課題を解決し、企業価値を高める視点が求められます。具体的な資料構成と差別化要素を盛り込み、納入後のフォロー体制まで示せば、提案の説得力が増します。

クライアントに訴求すべき「移転時内装」の価値:ブランド刷新・働き方変革・コスト最適化

移転時の内装工事は、企業ブランドの刷新と働き方変革の好機です。エントランスに企業カラーを取り入れれば来訪者の印象が向上し、採用力も強化されます。フリーアドレスやABW導入で社員の自律性が高まり、適切なゾーニングで業務効率が向上します。長期的にはコスト最適化にもつながります。

提案資料に入れるべき構成:レイアウト図・仕様比較・スケジュールモデル

提案資料には平面図と3Dパースを含め、完成イメージを視覚化します。レイアウト図では各ゾーンの配置と動線を明示し、仕様比較表では複数プランの費用と特徴を一覧化します。スケジュールモデルでは、設計開始から引き渡しまでのタイムラインを週単位で示します。

内装仕様の差別化:カフェ調オフィス/ラウンジ併設/可動パーティション対応など

差別化には独自性のある内装仕様を提案します。カフェ調オフィスでは木目調の内装とリラックス家具で快適な空間を演出し、ラウンジ併設型では社内外のコミュニケーションを促進します。可動パーティション対応では、将来のレイアウト変更に柔軟に対応できる点をアピールします。

納入後フォロー・メンテナンス・移転後のチェック体制まで提案に含める

内装提案では完成後のフォロー体制も明示します。引き渡し後の定期点検を実施し、不具合には迅速に対応する体制があればクライアントは安心して発注できます。清掃方法や備品交換時期のアドバイス、照明や空調など使用感を確認するチェックリストも提案します。

避けたい失敗・移転時内装でチェックすべき項目

内装工事では、スケジュール遅延や仕様の未確定、設備容量の見落としなど、さまざまな失敗が起こり得ます。事前にチェックすべき項目を把握し、トラブルを未然に防ぐ体制を整えれば、円滑な移転が実現します。

スケジュール遅延・工事区分未確認によるビルオーナーとのトラブル事例

スケジュール遅延は引越し日程に影響し、業務開始が遅れる原因となります。材料の納期遅れや職人の手配ミス、設計変更による手戻りが主な原因です。工事区分を未確認のまま進めたところ、オーナーから中止を求められやり直しになったケースもあります。契約段階で工事範囲を明確にします。

レイアウト・仕様が未決定のまま工事着手して起きる手戻り・追加費用

レイアウトや仕様が固まらないまま工事を開始すると、途中で変更が発生し手戻りが生じます。配線工事後にパーティション位置を変更すると配線をやり直す必要があり、追加費用が発生します。家具サイズ未定のまま進めた結果、搬入できなかったケースもあります。設計段階で確定させます。

移転先内装仕様・設備容量・電気・ネットワーク要件を軽視した設計ミス

移転先の設備容量を未確認のまま電気やネットワーク配線を計画すると、容量不足で追加工事が必要になります。分電盤の容量不足で電気増設工事が発生したケースや、LAN配線経路を未確認のままパーティションを設置し、配線が通らず再施工になった事例もあります。

設計・営業担当者が導入後フォローを忘れて、従業員満足度が低下したケース

引き渡し後に設計・営業担当者が一切フォローせず、不具合が放置されたケースがあります。照明の明るさ不足や空調の不具合が改善されず、従業員満足度が低下した事例もあります。納入後のフォロー体制を明示し、定期点検や問い合わせ窓口を設ければ、満足度の低下を防げます。

まとめ

オフィス移転時の内装工事は、準備段階での目的整理とゾーニング、設計フェーズでのレイアウトと仕様の連携、施工フェーズでのスケジュール管理と品質チェック、そして納入後のフォロー体制まで、一貫した流れで進めなければなりません。工事区分や法規を確認し、予算管理を徹底すれば、トラブルを未然に防ぎ、従業員満足度の高いオフィス環境が実現します。営業担当者は、クライアントの課題を解決する提案と、長期的な視点でのコスト最適化を示せば、信頼を獲得し受注につながります。

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