
空き家の売却に頭を悩ませている所有者は年々増加しています。相続や転勤など様々な理由で生まれた空き家は、老朽化や立地条件など複合的な要因から売れにくい傾向です。放置すれば固定資産税や管理費がかさむだけでなく、特定空き家指定による税金増加や倒壊リスクも高まります。
空き家が売れない主な原因とは?
売れ残る空き家が増加している現状には、明確な理由があります。相続で取得した実家や転勤で空いた住居など、さまざまな理由で生まれた空き家の売却に苦戦している所有者は少なくありません。市場価値が低く、買い手の関心を引きづらい空き家には共通する特徴があるのです。
老朽化による資産価値の低下
築年数の経過した空き家は、建物の老朽化によって市場価値が著しく低下します。木造住宅の法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造でも47年とされており、これらを超えると税法上の価値はゼロとみなされることもあります。長期間放置された空き家は雨漏りや害虫被害も生じやすいです。
買い手側にリフォーム費用の負担がかかる
空き家を購入する場合、買い手は多くのリフォーム費用を負担します。一般的な中古住宅のフルリフォームには数百万円から1000万円以上の費用がかかり、基礎工事まで必要となる場合はさらに高額です。この追加コストが購入への大きな障壁になっています。
周辺環境や立地の悪さが敬遠される
不便な立地条件にある空き家は売却が特に難しくなります。都市部から離れた場所や公共交通機関へのアクセスが悪い地域では住宅需要そのものが少ないため、買い手が現れにくいのです。スーパーや病院などの生活施設からも離れていれば、日常生活の不便さから敬遠されがちです。
住宅ローンが通らないリスク
老朽化した空き家や再建築不可物件では、金融機関による住宅ローン審査が「建物の担保価値が低い」と判断され、通りにくいという問題があります。現金一括での購入が必要になると、購入希望者の層が大きく制限され、売却の難易度が一層高まってしまいます。
空き家を持ち続けることで発生するコストとリスク
空き家を売却できないからといって放置すれば、予想以上の負担を強いられることになります。固定資産税などの税金負担は継続し、建物の劣化は加速度的に進行します。所有者にとっては負担が増えるばかりで、メリットはほとんどないのが現実です。
固定資産税・都市計画税がかかり続ける
空き家を所有している限り、毎年固定資産税や都市計画税の支払いが発生します。これらの税金は住宅として使用していなくても課税され続けるため、年間で数万円から数十万円の負担になります。長期間にわたって売却できない場合、これらの税負担が積み重なっていきます。
空き家特例解除で税額が跳ね上がるケース
管理が不十分な空き家は「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されるリスクがあります。このような指定を受けると、通常適用される住宅用地の固定資産税軽減措置が解除され、税額が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。
老朽化による倒壊リスクと賠償責任
空き家の老朽化が進むと、建物の倒壊リスクが高まります。もし隣家や通行人に被害が及べば、所有者は多額の損害賠償責任を負う可能性があります。日本住宅総合センターの調査によれば、倒壊による隣家全壊の場合、2億円近い賠償請求のリスクもあるとされています。
地域トラブル・防犯リスクの増加
放置された空き家は地域の治安や景観の悪化を招きます。庭は雑草が生い茂り、害虫や害獣の住処になりやすいため、近隣住民とのトラブルにつながりかねません。不法侵入や放火などの犯罪リスクも高まり、地域全体の不動産価値を下げる原因にもなります。
空き家をスムーズに売却するために必要な工夫

売れない空き家を手放すには、いくつかの工夫が必要です。価格設定の見直しから販売方法の変更まで、状況に応じた戦略を立てることで、売却の可能性は大きく高まります。ここでは具体的なアプローチ方法を紹介します。
相場に合わせた適正価格の設定
空き家が売れない最大の理由として、価格設定の問題が挙げられます。東日本不動産流通機構の調査によると、築31年以上の戸建ての売り出し価格と成約価格には2割以上の差があります。現実的な価格設定がなければ、いくら宣伝しても買い手は現れないでしょう。
解体して更地で売るか検討する
建物の状態が非常に悪い場合は、解体して更地として売り出す選択肢もあります。木造戸建ての解体費用は坪4万円から5万円程度、30坪なら120万円から150万円が目安です。ただし、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなる点には注意が必要です。
買取専門業者に依頼して早期現金化
早く確実に空き家を手放したい場合は、不動産買取業者への売却を検討しましょう。仲介での売却より安くなる傾向はありますが、リフォームや解体の必要なく、残置物がある状態でも買い取ってもらえるメリットがあります。売却期間も短縮できるため、すぐに現金化したい人に向いています。
空き家バンクを活用して地元ニーズを狙う
自治体が運営する空き家バンクに登録することで、地方への移住や二拠点生活を希望する人にアピールできます。地域によっては空き家バンク利用者向けのリフォーム補助金制度もあり、買い手の負担軽減につながります。
買い手に選ばれる空き家の条件とは?
空き家でも買い手に選ばれる物件には共通点があります。リフォームのしやすさや土地の活用可能性、インフラ環境など、購入後の使い勝手がよい物件は高い関心を集めます。これらの条件を満たす工夫をすることで、空き家でも売却の可能性が高まるでしょう。
リフォーム可能な構造であるか
リフォームのしやすい構造であることが、買い手に選ばれる空き家の条件としてあげられます。耐震性が確保されており、基礎部分に大きな問題がなければ、内装や設備の更新だけで住める状態になります。間取りの変更がしやすい構造も、買い手の想像力をかき立て、購入意欲を高めます。
土地活用が見込める立地条件
土地の形状や接道状況が良好であれば、建物の状態が悪くても「土地」としての価値で評価されます。再建築が可能な土地条件であることや、周辺の開発状況によっては将来的な資産価値の上昇が期待できる立地であることが、買い手にとって重要な判断材料になります。
インフラ(上下水道・電気)の整備状況
基本的なインフラが整っているかどうかは、空き家の価値を左右します。上下水道や電気、ガスなどのライフラインが問題なく使用できる状態であれば、購入後すぐに住み始められます。インフラの修繕に多額の費用がかかる場合、それだけ売却の障壁になってしまいます。
価格と状態のバランスが取れているか
最終的に空き家が売れるかどうかは、価格と状態のバランスで決まります。どんなに状態が悪くても、それに見合った価格設定であれば買い手は現れるものです。逆に、状態の良さに対して価格が高すぎると、買い手は同じ価格帯でより条件の良い物件を選ぶでしょう。
売却活動を成功させるための注意ポイント

空き家売却を成功させるには、準備段階からいくつかの重要なポイントに気を配る必要があります。買い手の第一印象を良くするための清掃から、信頼できる不動産会社選びまで、細かな配慮が売却の成否を分けます。
現地見学前に最低限の清掃・整備を行う
長期間放置された空き家でも、最低限の清掃と整理整頓を行うことで印象は格段に良くなります。特に玄関周りや水回りの清掃、庭の手入れは重要です。買い手がリフォーム後の姿をイメージしやすい状態に整えましょう。
物件情報をできるだけ詳しく開示する
建物の状態や問題点を隠さず、誠実に開示することが長期的には得策です。契約後に問題が発覚すると、修繕費用の請求や契約解除などのトラブルに発展しかねません。建物検査を受けておくと、客観的な状態評価ができ、買い手の不安軽減につながります。
売却期間を見越した資金計画を立てる
空き家の売却には通常3ヶ月から半年、状態や立地によってはそれ以上の期間がかかります。その間も固定資産税や維持管理費は発生し続けるため、余裕を持った資金計画が必要です。売却が長引いた場合の価格引き下げも視野に入れ、最低限受け入れられる金額をあらかじめ決めておきましょう。
不動産会社選びは空き家売却実績で判断する
空き家の売却は通常の不動産売却と異なる難しさがあります。そのため、空き家や古家付き土地の売却実績が豊富な不動産会社を選びます。複数の会社に査定を依頼し、単に高い査定額を出す会社ではなく、具体的な販売戦略を提案してくれる会社を選びましょう。
売れない場合の最終手段も検討しておこう
あらゆる努力をしても空き家が売れない場合、他の選択肢も検討する必要があります。賃貸活用や寄付、管理サービスの利用など、状況に応じた対応策を持っておくことで、負担を軽減できる可能性があります。
賃貸活用で維持コストを回収する方法
売却が難しい空き家でも、賃貸として活用できれば維持コストを回収しながら資産として保有できます。賃貸需要がある地域であれば、最低限のリフォームを行い、賃貸物件として貸し出す選択肢もあり、地方の空き家なら別荘や民泊などの一時利用向けの賃貸も検討できるでしょう。
寄付や相続放棄による負担軽減
極端に価値が低下している空き家の場合、処分方法として寄付や相続放棄も検討します。自治体や公益法人への寄付は条件が厳しいものの、公共目的に合致すれば受け入れてもらえる可能性があります。
空き家管理サービスを活用して維持する
売却までの間、専門の空き家管理サービスを利用して適切に維持管理する方法もあります。定期的な換気や点検、庭の手入れなどで月額5,000円から1万円程度の費用がかかりますが、放置するリスクを考えれば合理的な選択といえます。
家族や相続人間で役割分担を整理する
空き家が共有名義の場合、家族や相続人の間で役割分担を明確にしておきましょう。誰が管理の責任を持つか、費用はどう分担するか、最終的にどう処分するかなど、事前に話し合っておかないと後々問題になります。
まとめ
空き家が売れない状況は深刻ですが、適切な対策を講じれば解決への道が開けます。相場に合わせた価格設定や解体の検討、買取業者の活用など、状況に応じた選択肢があります。売却が難しい場合は賃貸活用や空き家管理サービスの利用も視野に入れ、家族間で方針を共有しましょう。
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